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武装錬金ピリオド
えーと、本編に関して語る前にもう先にぶち撒けておきますよ。
兎にも角にも、見開き扉ー!!なにこの苺濃度の強さは、甘いよ甘過ぎますよ。
とりあえず誰でもいいから今すぐゴスペラーズの「誓い」かけてー!!<自分的結婚式ソングイメージ
なんでいきなりここに新郎新婦なカズキと斗貴子さんですか、誰か今すぐに練乳持ってきてー<余計甘くしてどうする
…はっ、純白のウエディングドレスが練乳なのか!?<やめい

と、いきなりの2ページだけで既に色々と興奮悶絶で大変なのですが。
でもねぇ、ファイナルのラストがアレでこのピリオドも始まりがかなり暗いムードからだったので「これってもしかして…カズキが見てる夢とかそーいうオチじゃないよ…ね?」とか、微妙に不安も無かったわけではないわけですが。
あー、とにかく。和月先生の絵でこんなに素敵に苺濃度が強いものを見せられるとは思いもしませんでした、眼福。
私、これだけで今年1年戦えそうな気がするよ!

と、最初に一通り悶絶したところで本編感想。

月を見上げる、あの日と同じ…満月。
任務に向う4人、最後の任務。

『現在確認しうるホムンクルスの完全制圧』及び『戦団の段階的活動凍結』
あー、こーいう展開になってる事にはちょっと想像つきませんでした。というか、カズキの事ばかり考えてて戦団があのあとどういった行動に移したのか考えもしなかったというか。
100年前、その過ちにより1人の男を追い詰めた事。
100年後、再び同じ過ちを繰り返そうとしていた事。
ファイナルで、ヴィクターによってつきつけられた戦団の負の姿は、照星さんにきつく突き刺さっていたのかな…と。
照星さんが悪いわけではない、全ては100年前の戦団の過ち。
けれども、その責を背負うのは100年後の人々。
ならば、その責任をまっとうしようと。全てに決着をつけようと。それが、月へと消えた二人へのケジメ。
…って考えると、照星さん達現在の戦団の人々もある意味では被害者なのかもしれないね。
繰り返される不幸の連鎖、何処かでその鎖を断ち切らなければきっとまた同じ過ちを、同じ犠牲者を出してしまうのではないのかー…。

同じ月を見上げるひとりと、見上げもせずに時を待つひとり。
ヴィクトリア嬢とパピという組み合わせは何気にエロくて良いですね、ってそーいう感想はダメだろう。
なんだかこの辺のシーンを見てた時のヴィクトリア嬢の声のイメージが灰原哀嬢(名探偵コナンの…)だったのは私だけだと思いマフ。
ちゅーところで、パピの食人衝動に関しての伏線回収きましたよ。
ホムンクルスの食人衝動は本能的な人間への「未練」
なら、人間への人間社会への未練を持たない、脱・人間を果たしたまさしく『超人』
蝶野攻爵からパピヨンへと変わった瞬間…というか、そのあとの蝶野家での一連の流れで。誰からも認識されなかったあの時点で。
パピヨンの人間への、人間社会への未練は全て無くなってしまってるのかな。という気はするのですよ。
では、世界に未練がないのなら、世界に依存するものがないのなら、ではこの世界に存在する必要もないのではないのか?
この世界にパピヨンを繋ぎとめているものはなんなのか?

…まあ、ひとりだけ居るんだけどね。彼を、蝶野攻爵を、その名前で呼ぶ男が。

しっかし、ここでヴィクトリア嬢が食べていたお食事が…黒いね。
ママの味、というかママの出来損ないの成れの果ての味。ですか。
Dr.アレクのクローン技術でヴィクトリア嬢がこの100年近く何を食べてたか?なんちゅー些細な謎まで解決ですか、普通そこは流すよなァ。
(でもそうやって考えると、ヴィクトリア嬢はこの100年近く人を殺めるという事は行ってないのかねぇ。無関係な人間を巻きこむ必要はないって事かな)

斗貴子さん達の最後の任務、パピヨン討伐。
そうして、目の前に立ちふさがるのはパピヨン製の動物型ホムンクルス―…って、ココでこの4人が復活するとは思いもしませんでしたー!!
アレクさんのクローン技術をちゃっかりものにしちゃってるパピヨン萌え(コラ
まあ基本的に、再生怪人は弱体化してるのがセオリーなので(ヲイヲイ)斗貴子さんは先に突き進んでしまうわけなのですが。
その戦いの合間に挟まれる、それぞれの思い。
桜花先輩の、秋水先輩の、それぞれの斗貴子さんへの視線。
自分を責めて、自分を追い詰める。その姿を。
この一ヶ月の間、きっと斗貴子さんは自分自身を酷く追い詰めていたのであろう、だからこそムチャなトレーニングを繰り返し、生傷を負いつづける。
離れた手は絶望を、絶望の先には諦めを。では、諦めたその先には。

ひとりにしてしまうには、あまりにも脆過ぎるココロ。
だから剛太に斗貴子さんを追う様に促す…一人にするなと。
桜花先輩や秋水先輩が、そんな斗貴子さんを思いやれるようになってるのってやっぱりカズキの影響だよなー…とか不意に考えるとちょっと涙がでそうです。

そうして対峙する斗貴子さんとパピヨン。
斗貴子さんは言う
「決着をつけに来た」
「カズキの代わりに―」
と。

パピヨンは言う
「…代わりなどいない」
「貴様にはいるのか」
「武藤カズキの代わりが」
と。

同じ、ひとりの少年に惹かれ。同じ、ひとりの少年に沢山の影響を受けた同士。
そういった意味では似たもの同士、正反対の合わせ鏡。
まるで違うのに酷く似ている同士…斗貴子さんがカズキの代わりに決着をつけようと言うのは、そんな『もう一人の自分』にケリをつけたいという気持ちもあるのかなー…とかもちょっと思うのです。
そうして、もう一人の自分にケリをつけたら…斗貴子さんはどうするつもりだったのか。

そんな斗貴子さんを見ていたもう一人。
自分を追い詰め傷付いて、ボロボロになっていく姿を見ていられない…と。
なんでもすると
「先輩に笑顔が戻るなら」
「俺 何だってします」
と。
身代わりになる、代わりになると。先輩にとっての代用品でもかまわない、先輩に笑顔さえ戻るのなら…と。

そんな剛太に
「ありがとう」と言い。
「でも―」と言う。

それでも
「カズキの代わりはいない」
「誰もカズキの代わりになれるはずもない」
「わかっている」
と。

…ここ、きつかった。
剛太の回想から現在の斗貴子さんへと繋げるその言葉は、剛太への回答であり。
そして、自分自身への言葉でもあるのだな…と。
上で斗貴子さんがパピヨンとケリをつけようとしてるのは『もう一人の自分』へのケリであるのでは?と書いたのだけれど。
このセリフを見るともう一人の自分へのケリであると共に、剛太と同様の『代用行為』でもあるんだな、と。
自分自身がカズキに成り代わる事による代償行為。
彼を巻きこんで、そうして失ってしまったココロを埋める精一杯の代償。
無論、そんな代償行為にどれほどの意味も無い事は、そんな事ではほんの隙間すら埋まりはしないとわかっているけれど。
けれども、何かをせずにはいられない。
そんな自虐的にも見える行為は…とても苦しくて、辛いです。

そういえば、鷲尾氏だけは他の蝶野製ホムとは別枠で登場なのですね、と。
やはり初期の一つの大きな壁的敵役だっただけありますな!今しみじみ見ても良いデザインをしているホムンクルスでございます、しみじみ。
…鷲尾さんフィギュアとかあったらいいなぁ、可動式で。

斗貴子さんがこうしてパピヨンと相対するのは、正反対のもう一人の自分への始末でもあり、自分自身で行う『代償行為』でもあり。

そうして、一番大きなのは『自分自身の中に存在する、武藤カズキという存在へのケリ』なのかもしれない…と。
離された手は絶望を、絶望の先には諦めを。
…諦める為に、忘れる事は出来ないけれども、それでも…それでも諦める為に。

カズキにとっては、まひろや学園の仲間達が日常の象徴であったのだけれども。
斗貴子さんにとっては、カズキ自身が日常の象徴だったのではないのか?と。
幼い頃に無くしてしまった日常を、カズキを通して手にしていたのではないか?と。
だからこそ、カズキを失ってしまって、そうして今度こそ本当に…日常を失ってしまった。何もかもを、無くしてしまった…と。
失ってしまった日常に、本当の意味で別れを告げる為に…パピヨンとの代理決着をつけにきたのではないのか…と。

ではパピヨンは?
斗貴子さん同様に、ある意味では斗貴子さん以上にカズキに執着しているパピヨンはどうなのか?
まるで、何もかも諦めたかのように佇む彼の真意は?

武藤カズキのいない世界が、パピヨンにどれ程の意味があるのか。
蝶野攻爵の名で呼ぶ存在が居なくなってしまった世界に、どれ程の価値があるのか―…。

あー、しっかしここのバトルの流れってカッコイイねー。斗貴子さんのバルスカ着脱とか、パピのニアデスハピネスの爆炎とか。
ここにきて斗貴子さんのバトルヒロイン面目躍如っちゅー感じ?
あと身を呈してフラスコを守るパピヨンも素敵だ…完全に勘違いバトルだけども(うわー
(パピヨンもなんか言えばいいのに、とか思わなくもないのだけれども…でもなー、お互いにそーいうキャラ同士だからしゃーないですか)

カウントダウンを続けるフラスコ、そうして0をカウントと共にその姿をあらわすパピヨンの真意。
『白い核鉄』の精製―…。
世界よりも何よりも、ただ武藤カズキとの決着の為だけに向けられたすべての思い。

あーあーあー、もうこの瞬間にフラグがたったんだけど。この時点でカズキが帰ってくるんだ!きっとなんとかなるんだ!!とかそーいう漫画読み的連想もしてしまったのだけども。
いやもう、ココまでの展開があまりにも重くて辛くて切なかったんでそーいう甘い夢でも抱かないとどーにもならんかったのだ。
(扉絵はともかく)ここまで一切カズキが登場しない展開で、その中でのカズキに大きな影響を受けた同士のバトルで。
本気でこのままカズキは帰ってこなかったエンドとかやるつもりなのか!?とか思ったとかどーだとか、あーうー。辛かった、本当に辛かった。

諦めきれないのに無理やり諦めようとした少女と。
諦めきれずにただただ足掻き続ける男と。

「諦められるのか?」
「貴様は武藤カズキを 諦め切れるのか?」

…諦められないからこそ、自分自身を追い詰めようとしていたのだからこそ。不意に思い出すのは満面の笑顔の少年。
月を背に、けれども太陽の輝きをもつ少年の笑顔を。

見上げた空にはあの日と同じ、まあるい月。
けれどもそこに見えるのは、山吹色の綺麗な光。
…カズキの、太陽の輝き。

ここで泣いた人、手を挙げてー。
さっきの「諦めきれるのか?」とここの見開きはくるね、うん。
今の今まで、絶望的な空気が溢れていただけに、この輝きのもつ意味はあまりにも大きかったです。
月は死のメタファーであると誰かが言いましたが。
その月から放たれた太陽の輝きは…ね。とても、とても大きな意味をもつのです。

唐突に斗貴子さん達の前に現れる一人の女性、ニュートンアップル女学院でであった戦団の女性。
ここで千歳さんの武装錬金判明ですよ、レーダーの武装錬金「ヘルメスドライブ」
界隈で話題のバールのようなものではありませんした、残念(ヲイ
…あー、弟さんへ業務連絡。「大丈夫、角でぶつければ鈍器になる」とか言うな。
しかしレーダーの武装錬金ってどーいう闘争本能なんだろう…戦うよりもまず知略でなんとかしようという本能?<それって本能か…?

千歳さんに連れられて、飛んだ先は大戦士長の元。今まさに「何か」を行おうしているそこへ。
それこそまさに―…

「今から戦士・武藤カズキを」
「迎えに行きます!」

ここ一連の流れの大回転っぷりはもう爽快ですらあるのですが。
それこそ、ここに至るまでのあまりにも鬱々とした気分を全て吹き飛ばしてしまうかのような希望への道筋が。
見開いた斗貴子さんの眼差しは、突然の展開にちょっとついていけてないというものもあるのでしょうが…きっと、喜びも混ぜこまれているのですよ。

はい、今度は毒島さんの武装錬金きましたよー。ガスマスクの武装錬金「エアリアル=オペレーター」
特性は気体をあやつる?これってココでは酸素を調合してましたけど、やりかた次第では他の気体も調合可能なのでしょうかね?
それでも「待ち伏せが可能」ってのがわからないところなのだけども。うーん…煙幕か?
酸素を調合できる毒島さんと火炎を操る火渡の「ブレイス・オブ・グローリー」は非常に相性がいいなー、とか思いました。
ちゅーかあんまり武装錬金同士のコンビネーションって作中で描かれる事がなかったんで、もーちょっと連載続けばそーいうのも見れたのかなー…と。やっぱり終わらせるには惜しい漫画だよ…。

バスターバロン、発進。
向うのは、勿論――。

あの日から
あの日から今日まで 本当に色々あったけど…と。
楽しかったコトしか 思い出せないや…と。

それでも、それでも最後に自分を繋ぎとめるのは。
皆を守る為に、最後の最後で諦めようとした『自分自身』を、その瞬間に引き止めようとするのは。
一番大切な、一番守りたい人の、悲痛な叫び―で。

さあ、漸くきましたよ。漸く登場しましたよ、主人公サイド。
ちょっくらこの辺の時間の流れが解り難いのですが、えーとカズキの『あの日から―』がファイナルラストでヴィクターの『地球へ帰るんだ』が一ヶ月後?
まあよい、些細な事些細な事。
カズキとヴィクターでガチにバトルをやってるのかと思ったらそーいうわけではないのですね。
(しかし、少年漫画でラスボスとのバトルを省略してしまうってのはある意味凄いことだよねぇ。そういった意味ではファイナルが最終回で、ピリオドは本当にエピローグという事なのかなァ…と。
そうやって考えると『ファイナル』と『ピリオド』というタイトルの意味もなんとなく通じるような気もしたりしなかったり)

ファイナルのラストでヴィクターがカズキに見出したのはなんだったのか。
その回答が、コレ。
錬金のちからを、正しく使う事など不可能だと。怒りと絶望しか持ち得なかったヴィクターの前に現れたのは
錬金のちからを、あくまでも誰かを守る為に。ただ真摯に誰も彼もを守ろうと、同じような境遇にあいながらも、あくまでも希望を捨てようとしなかった少年で。
あー…ヴィクターにもカズキの影響でましたよ。
ただ真っ直ぐに、愚直なまでに真摯に。
誰かを守るべきちからを持っているのだから、戦うべきちからを持っているのだから。
だからこそ、戦う。
だからこそ、突き進む。
そんな姿で突っ込んでいったのだからこそ、ヴィクターにも感じる事があったのだろう…と。
…いやまあ、この辺ちょっとヴィクター影響うけるの早過ぎ!とか思わなくもなかったのですが。
(ちゅーかまー、単純にページが足りないからなんだろうけど。その辺を色々言い出すと湿っぽくなるので置いておこう)
でも、ヴィクターがそんなカズキを地球に戻そうと。少年が守った人々の所に、少年を再び戻そうと。
このヴィクターの自己犠牲フラグも切なくて良いのですが、でもそれに対しての
「もう戦う意志がないならヴィクター」
「共に生きる道を 新しく探そう!!」
というカズキが…もう、ね。誰も彼もを救おうとした少年は、ヴィクターをも救おうと。生きる道を探そうと。
人によってはこのカズキの愚直なまでの優しさをあざといと言うのかもしれない。けれども、カズキはこれでいいのです。
いや、これでなければならないのですよ。
その、一貫しての優しさを。全ての始まりの、化物に襲われそうな少女を救おうと飛び込んだあの時から、何一つかわらないカズキの真実なのですよ。
再殺編ではちょっと色々揺らいだ部分もあったのだけれど、それでも最後にこうしてきちんとカズキはカズキだと。
ラストの大ボスすらも救おうと、助けようと、そんなところが彼に触れた全ての人々に大きな影響を与えていくのですよ。

 絶望にしがみついた男と…
 希望を手放さなかった男…

 ”絶望”が”希望”に 敵うはずなどない――

(あ、勿論ここでも号泣ですよ。もうね、今回泣かせポイント多すぎるんだよ!)
ヴィクターのキャラプロフの時に、『カズキにあってヴィクターにないもの』が二人の分岐点になるでしょうという記述があったのですが。
それがコレだったのかな、と。カズキが最後まで持ちつづけた希望。最後まで諦めなかった事が。

―オレがみんなを守るから 誰かオレを守ってくれ―
ALL FOR ONE,ONE FOR ALL
ひとりはみんなのために。
カズキは誰の命をも諦めようとしなかった、自分の命をも含めて。
全てを守ろうと、けれども最後の最後で自分自身を守る事だけは出来なくて。
みんなはひとりのために。
だからこそ、でてきた弱音。ギリギリの、切実な、思い。
そうしてカズキが守ってきた人々が、今度はカズキに手を差し伸べる。彼を、守ろうとする…それ、が。

宇宙を漂うカズキの元に、微かに届く声。
その先にいるの、は。

―キミが死ぬ時が私が死ぬ時―

―いや…キミと一緒に生きていく―
―もう離れない――

ファイナルの時に、カズキと斗貴子さんには最後の最後で決定的に大きな壁があったんじゃないのかな?と、感想を書いたのですけど。
その壁が、今回とうとう無くなったな…と。漸く、本当に互いの思いが一つになったのかな…と。
あの日、斗貴子さんはカズキに死ぬ時は一緒だと言ったけど。
けれどもカズキは、繋いだてのひらを離して生きていてほしいと願った。
今は、今は違う。死を見つめるのではない、互いの生きていく道を見つめるのだ。一緒に、同じ道を歩んでいくのだ…と。
斗貴子さんの中にはカズキに対しての負い目みたいなものがずっとあったのだろうけども、けれども今はきっと大丈夫。
一緒に生きる道をやっとみつけたのだから、一緒に歩く道を選んだのだから。きっと、大丈夫。
なんだかもう、この二人の抱き合った絵を見てると心から良かったね…と。本当の本当に良かったね、と言いたくなります。
やっと、再会できたんだよ。

あ、宇宙空間で声が…とかいう無粋なツッコミは無しの方向で。
ちゅーか月で会話していた時点で以下略。

やっと、再会した二人。
そうして、帰還。ふたたびこの地球に―。

ヴィクターも一緒に帰ってきた、ってのがやっぱり嬉しいです。
そうして、帰ってきた父親を見上げるヴィクトリアの心境も色々…考えると切ないよ、ね。
彼も彼女も互いに被害者、アレクさんとの再会は間に合わなかったけども。
ヴィクトリアは「独りでも生きていける」と言ったけど、でも独りで生きていくなんてあまりにも悲し過ぎる。そんな孤独な心への最大の救いは…やはり家族の存在なのかなぁ。

剛太は「先輩に笑顔が戻るなら」と、そうして代わりになると言ったけども。
その先輩に笑顔を取り戻したのは、先輩自身にとって一番大切な人…で。
この、こっそりと涙を拭う剛太は切ないけれども…でも、私は剛太の恋に関してはこの結末で良かったんじゃないのかなと思うのデスよ。
まあこの辺も後述、後でモット萌えシーンがあるんで(萌え言うなや)
ちゅーか、このシーンで桜花先輩達がカズキに駆けよって来てるけどエネルギードレインはだいじょーぶなのかー?斗貴子さんはシルスキ着てるからまあいいけども。
(そーいう細かい事は気にしない気にしない)
そういや、結局ヴィクター化カズキのカラーは1回もなかったねぇ。ちょっと残念…。

そうして、帰ってきたカズキの前に「約束」を覚えているか…と現れるパピヨン。
ちゅーかパピ、バルスカ刺さったままだったのかよ!外そうよ、それは。

カズキに、カズキの為だけに精製した白い核鉄を渡して。
「人間」武藤カズキとの、本当の決着をつけるため、に。
んー、ここのカズキが白い核鉄を使ったシーンはもうちょっとためが欲しかったかなーとか思わなくもないのですが。っちゅーか、アレだけジタバタしたわりにはあっさり人間に戻れちゃった印象が。
でもまあ、ページ数が(略)ゲフンゲフン。
んでもパピヨン、当初の約束では「パピの望む時間・場所・条件」じゃなかったのですかー。…ああ、そんなものよりも少しでも早く決着つける事のほうが重要ですかそうですか。
本当にパピヨンは頑なにカズキにこだわってきたキャラクターだなー…と、ある意味では斗貴子さん以上に一途ですらあるんだよなぁ。
それこそ、斗貴子さんは自分自身がカズキの代用品になろうという代償行為である意味諦めようとしていた事。カズキの代わりとしてパピヨンと決着をつけることで自分の中に全てを押し込めてしまおうとしていた事を。
(というか、後から冷静に考えるとあそこで決着をつけたら斗貴子さんは後追いするつもりだったんじゃないのかなー…戦団がまだ戦うべき場所を保持しているのなら、カズキが守るべきだった世界をカズキの代わりに守ろうという選択肢もあるとは思うのだけども。
でも、戦団が活動凍結を表明してしまった以上、戦う術もない守るべき術もない…ちからを持たない少女が、じゃあ全てを失ってその後?…という、ねぇ)
けれどもパピヨンは、たとえそれがムダな足掻きかもしれないとわかっていても。それでも諦めずに白い核鉄を精製して。
あるいは、白い核鉄を作り出したら本当に月に行く術すらも模索しようとしていたのかもしれない。それ程までにカズキに固執して。

そんなパピヨンとの最後の決戦は、あの前の戦いを踏襲した構成なところがまた燃えるのですよ。
同じようなあの特有の描写方法で(あれって筆で描いてるとかなのかなぁ?)同じ無音、凝縮された数ページ。
たった3ページに凝縮されたバトルの、なんと濃密で濃厚なことか。
vs蝶野の時と同じ互いが向き合うカットからの入り。でも、あの時とはまるで違う表情の二人。
カズキの表情に怒りはないし、パピヨンの表情に狂気はない。その、二人の違いだけでなんだかとても感無量になってしまいます。
和月先生は、こうして同じような構図とかをあえてリフレインしたりするのをよくおこなう作家さんなんですけども、今回は今までで一番きたなー。
パピヨンのニアデスハピネスの爆発をうけ、砕けるサンライトハート。
けれども、その爆炎の向こうでそのサンライトハートの石突部分を…あのドラゴンヘッドをパピヨンにつきつけるカズキ、が。
ここで、このドラゴンヘッドの部分をつきつけたのもなんだか印象深いなー、と。この部分のデザインを残したのは、まあ元デザインへの敬意を込めて…との事だったのですけども。
カズキが、人以外のものへと変わってしまって、そうしてサンライトハートはその形を変えたけども。
こうして、再び人間に戻っての最後の決着は、そのサンライトハートの最初の姿の名残がつける…ってのが、ねー。象徴的な気がするのですよね。

そうして、決着がついて。でも、パピヨンはどこか満足そうで。
「殺れ」
「今度はしくじるな」
…と。

場面転換、多分戦団の施設かなにかの一角。
パピヨンが残したデバイスのデータを元に作り出した白い核鉄をヴィクターに渡す照星さん。
こうして、ヴィクターもまたカズキ同様に人に戻って…そうして、本当の意味で娘と再会して。
結局、作中でヴィクトリアが笑顔を見せたことはなかったけれども。それでもこうして、父親に抱きついて涙を流せた事が。
100年という月日の中で、凍ってしまった時間が漸く流れたようにも思えて。
けれども、人に戻れたヴィクターと違いホムンクルスになってしまったヴィクトリアはもう人には戻れないわけで。
そうして、ヴィクターがとった選択は「娘と同じホムンクルスになる事」
ホムンクルスになって他のホムと共に月に行き、再び人間に戻れる日を夢見ながら、錬金の力が再び過ちに使われない事を祈りながら。地球を見守ろう…と。
どうやって月まで行ったのか、とか。食料はどうするのさ、とか突っ込みどころはあるんですけども。
ホム関係に関しては上手い落としどころをみつけたなー、と。まあアレクさんのクローン技術で食料関係はなんとかしていただくとして。
なんだか、月で独自のコミュニティを作りそうだなぁ…ホムの。
そして何気に嬉しそうなムーンフェイスと独りでフラグ発生してる花房のおねえ様が気になるところでございます。
っちゅーか、花房姉さん…ヴィクターに惚れたか、そうか。姉さんがいた場所から考えるに…尻に惚れたか?<ええー

そして、戦団は一時活動凍結。
活動はホムンクルスの再人間化の研究と核鉄の管理。
戦いはひとまず―

漸く繋いだ、手。始めての握手は、けれども別れの挨拶。

剛太はそれでも、やっぱり斗貴子さんの事が好きなのだと思うのデスよ。
剛太は「もしまた 先輩を泣かせる様な真似したら」と言い。
カズキも「しない もう絶対」と答え。

…それで、良かったんじゃないかな。
カズキはもう絶対に斗貴子さんを泣かせないと誓うのだから。もう絶対に苦しめないと誓うのだから。
誰かが代わりになるのではない、自分が代わりになるのではない、ましてや彼女自身が代わりを演じるのではない。
カズキが、カズキ自身の言葉で。カズキ自身の意志で、斗貴子さんを守ると誓うのだから。

剛太のこの悲恋を可哀想と思う向きもあるとは思うのです。剛トキというカプを否定するつもりもないのです。
でも、じゃあ今回カズキが帰ってこなかったとして。斗貴子さんと剛太が互いにカズキの影響を引きずったままにくっ付いて、それで幸せになれるのか?と。
代償としての恋愛が、彼と彼女にとって本当に幸せなのか?と。
剛太は作中で実は1回も斗貴子さんに自分の思いをぶつけてはいないと思うのデスよ。
「先輩に笑顔が戻るなら 俺なんだってします」
とは言っているけども、でもそれは裏返すと『武藤カズキの代わりになります』という宣言であって。
斗貴子さんの事を愛しているとか好きだとか、そういった告白の類では一切ないのだよね。
この時点でカズキと斗貴子さんの関係ってのはかなり濃厚なものになり過ぎてるんで(って、濃厚とかいうとなんかやらしい…)今更他の面子が間に入り込めるかっちゅーとそこはそれなんですけども。
それでも、代わりになりますという宣言よりも「俺ではダメですか?」とかのベタに行くなら「俺では貴方の苦しみを取り除けませんか?」とかの告白をあそこでしてたら…ねぇ、どうなったのかね。
そういう意味では恋愛下手、だからこそ愛しい子なのだけども。

それでも、自分がカズキの代わりになれないと理解して。
そうして、先輩に笑顔を取り戻せるのが自分じゃないと理解して。
…それで、良かったんじゃないかな。
先輩に笑顔を取り戻せる事が出来る唯一の男が、こうしてきちんともう悲しませないと誓ったのだから。
だから、まだ少し苦しいだろうし、辛いだろうけども、きっと剛太はこの悲しい恋を乗り越える事ができると思うのですよ。

だからこそ
「それなら俺達は」
「ずっと 戦友だ」
…なのですから。

ちゅーわけで、戦友宣言でましたんでココでお別れとはいえまだまだ剛カズに萌えていってよろしいでしょうか!
(今までの真面目な恋愛考察全部ここでぶち壊すか!)
(ゴメンよ、腐れた大人で)
ちゅーか、剛太には是非とも銀成に来て欲しかったのにー。クラスメイトになってもらいたかったのにー。
剛カズはやっぱり茨道ですかそうですか、がくり。
いや、この戦友だ発言で燃えたし萌えたから良いけどもさ。
まあ戦友になったのだし、だったら次はもうちょっと踏みこんで親友になれるよ、ね?
そんな夢を見たっていいよね?いいよね??

街に広がる新たなる都市伝説、ニュースにも語られるそれは―…っちゅーか。
うっはー、まさかパピヨンにこんなオチを持ってくるとは思いませんでしたよ!とか叫びたくなるような展開にどーしたもんだか。
人々の口々に語られる謎の『蝶人』
ロッテリやのお姉さんまで再登場しての彼の人物の浸透っぷりに、もうねー。ちゅーか、銀成市民は色んな意味で適応力ありすぎっちゅーかなんちゅーか。
…蝶人キャンペーンが気になります、っちゅーかそのパピ人形くれ(ええー

カズキの選んだ『決着』は、もう殺したくないと、新しい世界に生きていて欲しいと。
誰も彼もを救おうとしたカズキなのだから、最後の最後で蝶野をも救いたかったのだと。

「…以前にも増して 大層な偽善者振りだな」
と言われ、それでも。
「いいよ それで
 オマエを殺すよりは ずっといい」
と答え。

世界で誰にも認識されなかった絶望の中で、それでもただひとり…蝶野攻爵という名前で呼んだ人間。
その彼が、覚えているからと、オマエの名前と正体はずっと覚えていると。
正直、カズキとパピヨンの決着をどうやってつけるのかなんて想像もつきませんでした。っちゅーか、はっきり言ってそこはぼかして終わらせると思ってましたよ。
ファイナルの感想を書いたときも、どういう状態が決着なのかわかんねーとか言ってるし。
バトル漫画の決着=勝敗のみってわけじゃ無い事は承知ではあるのですけど、それでも確実にカズキは一度蝶野攻爵を殺していて。
じゃあ、今回は?ってんで、パピが生きてて幸せになれるエンドを想像もつかなかったというか、カズキがとどめを刺さないことをパピが納得するとも思えなかったし。
でも再びパピを殺したとして、じゃあそのあとカズキは平静でいられるのか…っちゅーと、うーん。
そうやって考えると、パピのこの生きた都市伝説化ってのはとんでもねー!と爆笑してしまう部分はありつつも、落としどころとしてはココしかなかったんだよなー…と、深く納得できるわけなのですよね。
しっかし、パピヨンのこの結末ってのは、作者がどの辺から考えてた落としどころだったのかなぁ。
…案外、きちんと連載が続いてたらもっと悲劇的なオチだったのかもしれんのう。
やー、1ページぶち抜いての「もっと愛を込めて!!」は伝説になると思います、すごいよパピヨン。

んあー、銀成市に行っておおっぴらにパピヨン見学してー。

ごくありふれた街角を、並んであるく少年と少女の姿。
…戦団の活動停止により、斗貴子さんは核鉄を手放して。でも、今まで体の一部同然にしていたのだからどこかしら心細さも感じていて。
そんな斗貴子さんに自分の胸の核鉄を指して
「大丈夫 ここにある核鉄は」
「これからずっと 斗貴子さんと一緒だから」
…と。

………えーと、それはナチュラルにプロポーズと受けとってもよろしいのでしょうか?カズキさん。
誰か、誰か今すぐゴスペラーズのPromiseかけてー!!あたらしい世界もかけてー!!<自分的ウェディングソングイメージ
もうね、わたしゃ別にノマカプ推奨人間じゃないのですけども(というか、この期に及んでやっぱり剛カズイチオシだったりするんですけど)それでも、このカズキの笑顔が見れただけで、そしてそれをうけての斗貴子さんの穏やかな表情を見れただけで。なんか…良かったな、と。本当に良かったね、と思ってしまうのですよ。

 日常(ココ)から非日常(たたかい)の世界へ…
 そしてまた日常(ココ)へ――

えーと、どっかで書いたかな?
武装錬金という物語がカズキという少年の死を基点としている以上、物語としてそこに帰依するという方法もありっちゃーありだとは思うのです。それはそれで美しい終わり方かもしれないのです。
でも、私はそんな結末を見たくないし、きっとこの漫画を読みつづけた人々の多くがそんな結末を望んではいないし。
では、この物語の基点がどこでどこに帰依したのか?と考えると、日常を守る為に始まった物語なのだから再び日常に帰るというこれ以上ないくらいに美しい着地点があったじゃないか…と。
もうね、このラストを見るまでその着地点に本気で気づいていませんでした。
カズキと斗貴子さんが互いに手を繋いで、そうして彼等を待つ日常の人々の元に帰るこのラストのカット。
もうそれだけで号泣、本当に良かったと。良かったね良かったねと、何回も言っちゃうぐらいに大団円っぷりに大満足でございました。
本当はね、ピリオド読む前ぐらいまでは「いっそこのままココで終わらないでうだうだと続いちゃわないかなー」とかも思ったんですけども、それでもこうして綺麗に完結して見せられちゃうとあまりにも幸せになり過ぎて良かった良かったという感想しか出てこないのですよ。

ハッピーエンドを向えるべき物語、というのは確実に存在すると思うのです。
武装錬金という物語は、確かに最後の最後で色々とご都合主義な部分もでちゃったりとか、詰めこみすぎな部分とかもまああって。もろ手を挙げてほめられるかっちゅーとやっぱり色々問題はあるんですけども。
それでも、それでも最後の最後で全ての人々に救いを与えようと。誰も彼もが苦しんで傷付いて、それでも苦しんだ分だけの傷付いた分だけの救いが与えられる物語であった事が。
それが、本当に良かった事だと思うのです。
もうね、苦しんで足掻いて傷付いて、それでも救われない事が多い世界の中で。でも、せめて作り事の世界のなかくらいは最大限に救われる物語があったっていいじゃないですか、と。
もし、この漫画のそういったご都合主義なまでのハッピーエンド過ぎる部分をさして駄作だというのでしたら、その人はそういった救われない物語を読めばいいのだと思うのです。
でも、私は誰も彼もが最大限に救われる物語を読みたかったし。最大限に救われるこの物語に読み手として最大限に救われた気持ちになったのです。
好きで良かったと、好きでありつづけて良かったと。
今はただ、和月先生に最大限の感謝ばかりです。
この物語を書き続けてくれてありがとうございます、と。
もうね、やっぱり大好きですよ。この漫画が。

とりあえず、単行本10巻では描き下ろしもあるみたいですし(あるよな?あるんだよな!?)ドラマCDも(ちょっくらばかり不安もありつつ)ありますし、まだまだしぶとく武装錬金を追いかけていけそうです。

うん、自分でもそろそろ長すぎると思ってるよ。
ちゅーわけで、今回未消化だった部分をつらつら。
兎にも角にも毒島たんの中の人はどうなったのか!と。使用武装錬金は判明したのですが…っちゅーか、あの発動シーンはなんだかとても乙女チックだったので中の人は可愛らしい女の子と勝手に決めつけます。ショタでも可。
でもまあ、このまま単行本でもフォローがなかったりしてもそれはそれでありかなー…とか。みんなの心の中にそれぞれの毒島たんがいるんだよ。
…いっそドラマCDで毒島たんの中身判明ってのはどうだ?声だけで。

戦団に関しても色々、確かにこれで表立って戦うべき必要はなくなったけれども、でも戦いの場所でしか生きていけないような人もいますし(戦部さんとか戦部さんとか戦部さんとか<限定かよ)
それに、ヴィクターがホムンクルスを引き連れて月に行ったといっても、きっと取りこぼしはいると思うのですよねぇ。そーいうのは今後どうしていくのか。
ちゅーか、そーいう取りこぼし部分にあの「西山くん」とかが居る気がするんだよねぇ。
斗貴子さんの傷の件とか、あと過去の照星部隊の出来事とかは単行本書下ろしでフォローがはいるのかなー?と思いつつ、でもまあページ数的に考えてもそこまで求めるのは無理だわな、と。
それに、斗貴子さんの過去とかは謎なんですけども。それでも、折角穏やかな日常を手に入れたのだから、再び戦いの世界に戻るような出来事は起こさないであげたいなー…という気もしますしねぇ。
なんとも、難しいところだわさ。いやはや。

まあ、今後の戦団の事とか色々と語りたい気もするのですけど、でもそこまで語ると流石にピリオド感想から逸脱しすぎちゃうのでとりあえず感想としてはこの辺で終了。
それでも十分にとんでもない量になってる気がしますが気のせい気のせい。
とりあえず今すぐ誰かラヴ度の高いラブソングかけてー!!ミモザとかかけてー!!いっそLove Anthem丸ごとかけてー!!<自分的…ってしつこいか、ちゅーかLove Anthemはポンソロだけども